旧耐震でも団地は耐震性が高い

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  • 更新日:2020/12/05
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中古マンションを買うときに気をつけなければならないことはいろいろありますが、そのうちの一つが耐震性です。

特に、旧耐震と言われる築年の古いマンションに関しては、大地震による倒壊の危険性があると言われています。

古いマンションの代表として、いわゆる「団地」があります

(団地にはマンションと戸建ての両方がありますが、ここで。はマンションを話題にします)。

高度経済成長期の昭和30年代〜40年代にたくさんの団地が建てられました。

築40年〜50年以上になるこれらの団地ですが、耐震性は大丈夫なのでしょうか。

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旧耐震とは

1981年(昭和56年)

耐震基準に関しては、昭和56年(1981年)6月1日に建築基準法に改正がありました。

  • 旧耐震:昭和56年5月31日までに確認申請を取った建物
  • 新耐震:昭和56年6月1日以降に確認申請を取得した建物

と呼んでいます。

建築確認であり、落成日ではないことに注意が必要です。

建築確認は建築前に取るものなので、完成はそれよりも後になります。

ということは、新耐震になる前の1981年4月に建築確認を取ったとすると、完成は1981年9月かもしれませんし、大きな建物なら1982年かもしれません。

不動産のサイトで1981年建築だからといって、安心してはいけないということですね。

古いから地震に弱いわけではない

逆に、1981年以前の建築だと、みな大地震で倒壊してしまうのでしょうか。

実はそんなことはありません。

耐震性には指標があり、耐震診断を受けることで数値で明らかになります。

数値はいくつかの種類がありますが、その中でもっとも一般的に使われるのがIs値です(鉄筋コンクリート造の建物の場合。木造の場合はIw値という別の指標が利用されます)。

この数値は日本耐震診断協会によると

  • 建物が保有している基本的な耐震性能を表す指標(強度、粘り強さ)
  • 形状指標(建物の形による数値)
  • 経年指標(経年劣化を考慮した数値)

から求められ、この数値が0.6以上であれば大地震による倒壊は免れるとされています。

0.6という数値は、1968年の十勝沖地震と1978年の宮城県沖地震で中破以上の被害を受けた建物群から求められており、このとき0.6以上の建物では中破以上の被害がなかったそうです。

新耐震の基準では、Is値が0.6以上であることが求められます。

さて、では実際の団地はどうでしょうか。

たとえば、日本で最大の賃貸住宅経営者であるUR都市機構では、住戸の99%で耐震診断を行い、その診断結果も公表されています。

そこでは、多くの旧耐震の建物が分類IV (Is値は0.6以上)になっており、耐震性に問題ないことが示されています。また、1996年から耐震改修を進めており、2020年現在約94%の建物で耐震改修が完了しているそうです。

そもそも、日本住宅公団(公団)などが建築した団地は、建築当時は壁式構造、プレキャスト構造など、最新の技術で建てられた先進性の高い住居で、人びとの憧れの的でした。その募集倍率は実に100倍に達することもあったと言います。

日本企業がJIS (日本工業規格)の最低ラインで製品を作るのではなく、それよりはるかに強度や品質の高い製品を作り出していたように、住宅も当時の(1981年改正前の)建築基準法よりも高い品質のものが作られていた、ということでしょう。

賢く選ぼう

私が見たことのある東京都町田市の団地では、2010年代に耐震検査を行いました。その結果のIs値は0.6どころか1.0でした。

ちなみに、建築は1971年4月。築年はバリバリ旧耐震の時代ですが、その耐震性は現在でも全く問題ないレベルなのです。

マンションを買ったり借りたりするときは、こういうところも見ておきたいですね。

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