今後小規模マンションがいかに破綻するか

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  • 更新日:2021/11/13
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中小規模のマンションに住んでいる方は、今後はやばいかもしれません。

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多くのマンションでは、管理をマンション管理会社に外注していると思います。

これらの管理会社、1回目の大規模修繕工事で修繕積立金を全部吐き出させるなど、管理対象のマンションから養分を吸い取っていくことで悪名高い部分もあります。

いっぽう、日常的な管理においては管理員のなり手不足や高齢化もありなかなか厳しい状況にあります。

日常清掃も、最低賃金の上昇(末端で働いている方々は最低賃金レベルの方も多いです)により、じわじわと費用が上昇しています。

管理費が実際に使われるところは、管理や清掃といった人件費なのです。

首都圏での最低賃金の上昇は厚生労働省によると過去15年間で平均して年2%です。

長いこと給料が上がっていないように見えて、それなりに上昇しているのですね。

これらの費用の上昇は管理費に跳ね返ります。

でも、管理費が上がるだけならまだマシなのかもしれません。

大手の管理会社にとっては、中小のマンションはスケールメリットが出ないため、費用倒れになる可能性があるのです。

そのため、管理会社側で管理契約の更新を断るケースまで出てきています。

では、中小の管理会社に頼めば...ということになりますが、同じスケールメリットの問題から、徐々に中小の管理会社は淘汰していくことが予想されています。一部は大手に吸収されていくことでしょう。

大型マンションも安穏としてはいられません。

管理費などを変更するには総会決議が必要ですが、そのハードルは決して低くはありません。10年も20年も前から同じ管理費でいると、ずっとそのままいくような錯覚に陥りますが、その差額は管理会社が(これまでの付き合いで)吸収しているかもしれないのです。

また、築年が古くなればなるほど、管理費滞納や所有者の所在地不明といったリスクに見舞われます。

管理会社としてもこれらを見た上で管理委託を継続することがリスクと見做せば、「更新拒否」が起きることも考えられるわけです。

管理を断られるのなら、他の管理会社に乗り換えればいい、がこれまでの常識でした。

ところが、管理業界の高齢化、人手不足はどこも同じ。管理委託契約の更新を断られるようなマンションを受託したい管理会社がどれだけあるでしょうか。

これらの状況を見た上で、我々はどうするべきでしょうか。

2つの道があります。

一つは、築年の若いうちから徹底的にコスト構造を見直し、少しでも「貯金」をすることです。

適正な管理がどのくらいかはマンションによって異なるでしょうが、清掃、点検、植栽、コンシェルジュ、共用部分のサービスなど、「身の丈にあった」管理にしていくことが必要です。

余剰が出たら、コツコツと修繕積立金に振り替えていくのです。

修繕積立金はまた別の問題があるのですが、それは別途書きたいと思います。

もう一つの道は、自主管理です。

私は縁あっていくつものマンションを見てきていますが、築古のマンションを中心に自主管理を行う物件も多くなってきているように感じます。

クラウドやスマホアプリなど、自主管理をサポートするツールも増えてきています。

管理組合としては大きな負担にはなりますが、専任職員を置くなど、工夫しているマンションもあります。

管理費や修繕積立金の値上げは、マンションという資産価値の棄損になります。

今後、マンションを買うときの判断基準に管理費や修繕積立金が立地や間取り、築年などと同様の大きなウェイトを占めるようになっていくことは間違いありません。

これからあらゆるマンションが「勝ち組」と「負け組」に別れていく中で、いかに勝ち組に残っていくか。その勝負はすでに始まっているのです。

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