2023年1月 FP1級試験 学科試験応用編の講評

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  • 更新日:2023/01/24
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ファイナンシャルプランニング技能士(FP)1級を2023年1月に受験しました。

ここでは講評というか感想というか、その内容について振り返ります。

今後受験を考えている方、勉強している方は参考にしてみてください。

さすがに1級の受験者は少ないようで、私が行った試験会場では1級には2クラスのみの割り当てでした。

受験番号的には128名分、実際に私が入った教室にいたのは40名ほどでしたので、受験したのは概ね80名くらいだと思います。

FP1級の合格率はざっくり10%、これが受験申し込みをした人に対する割合か、実際に受験をした人に対する割合かわかりませんが、いずれにせよこの会場で合格する人は10人前後しかいないことになります。

私が入った教室でも40名の中で合格するのは5名前後、そう思うとかなりの難関だなぁと思いながら受験しました。

なお、問題と回答はきんざいが公開しています。

問題

基礎編 PDF形式

応用編 PDF形式

模範解答

応用編の講評

全体としては、若干のひっかけもありましたが、過去問をしっかりやっていれば70点〜80点は取れるかな、という感じでした。

穴埋め問題は初出で難しいものが多かった印象です。ただ、知識の穴埋めの配点は基本1点(計算があるものは2点)になることが多いので、なんとかなるかなと。

第1問 A分野

ライフプランニング分野です。

問51

健康保険の穴埋め問題です。保険外併用療養費(混合診療)についての知識を問う問題で、②「評価療養」や③「選定療養」といったワードを答えさせるもの。また選定療養の対象病院の病床数④200床を答えさせるもの、これらは正答率が低そうです。私も玉砕。

もっとも①保険の一部負担金が3割であることや、⑤支給額を答えさせる問題もあり、そこだけは私もできました。

問52

高額療養費の問題。高額療養費は①21000円以上の自己負担に対して対象となることや、多数該当が②4回目からになること、④総医療費から高額医療費で給付される額の計算もありますが基本的な内容なのでこれは大丈夫でしたね。

問題は限度額適用認定証に使えるものとして③「マイナンバーカード」を答えさせる問題。これは知りませんでした。保険証の代わりにマイナンバーカード、というのは最近話題になってますが、限度額適用認定証が不要になる、という知識まで問うてきたのは深いなーと感じました。

問53

計算過程付きの遺族年金額の計算問題。

①遺族基礎年金、②遺族厚生年金、③遺族年金生活者支援給付金

でしたが、過去問レベルの基本的な問題でしたので、これは大丈夫でしたね。

遺族年金生活者支援給付金の月額が5,020円であること、解答は年額で行う(問題にも記載あり)ので、12倍が必要であることなどがちょっとひっかけといえばひっかけです。

第2問 C分野

金融分野の問題。

問54

①総資産経常利益率、②総資産回転率、③PER、④PBR

の計算問題。これは計算ミスで落とすわけにはいかないですね。私も慎重に計算してクリアしました。

問55

計算過程付きの計算問題。

①X社の当期の変動比率が変わらずに売上高が10%減少したときの営業利益を求める問題

これまでに出たことのないタイプの問題ですが、変動費、固定費の概念を知っていれば難しくはないと思いました。

問題中、変動費は売上原価(売上高-売上総利益)、固定費は販管費(売上総利益-営業利益)と定義されてますので、まず売上高と売上原価から変動比率を計算しておき、売上高を10%減少させたところからこの変動比率をかけたものを引くと売上総利益が出ます。固定費は変わらないのがミソで、売上総利益から固定費を引くと営業利益です。

②損益分岐点売上高

こちらは過去問からのアレンジはないので、しっかり演習しておけば特に問題はなかったかなと思います。

問56

米ドル建債券の円換算年利を求める問題。これも過去問で何度も出題されたところ。問題なくクリア。

第3問 D分野

問57

計算過程付きで所得を求める問題。難易度は激ムズではないですが、ひっかけが多いです。

①総所得金額に参入される一時所得

設例に保険が2つありますが、一つは2018年8月契約の一時払変額個人年金保険、金融類似商品として源泉分離課税対象のもの。なので対象になる保険は一つだけ。

②雑所得の金額

年金から雑所得を求める問題ですが、老齢基礎年金、確定給付企業年金、個人年金があるので控除額を正しく見分けないといけません。個人年金は控除の判断に使う「公的年金等の収入金額」には入らないので、そこがわかっているかどうかで正解不正解が分かれる部分です。

③総所得金額

ここは「給与所得と年金所得の双方を有するものに対する所得金額調整控除」を知ってないといけない。普通の所得金額調整控除なら「(収入-850万)x10%」なのですが、年金がある場合は計算式が違うので、そこを問われる問題でした。

あとは不動産所得における土地取得負債利子を入れてはいけないといういつものパターンと、譲渡所得を算入しないことがわかればよいです。

私は①②はクリアしましたが、③は見事に引っかかって落としました。というか年金がある場合の話なんて知らなかった。

問58

医療控除に関する基本的な知識を問う穴埋め問題。

①セルフメディケーションの控除額上限、②設例における医療費控除額、③領収書の保管年数

私は③を7年と勘違いして落としました(これは確定申告証憑類の保管年数で、医療控除の方は5年)。

問59

住宅ローンに関する穴埋め問題。

こちらも①新築から居住まで6ヶ月以内、など基本的な内容で大きなひっかけはなかったと思いますが、現在は適用される所得が②2000万円になっていることや、③控除期間が最長13年間であること、⑤住民税の控除上限が97,500円であることなど知識のアップデートが問われました。

ちょっと難しいと思ったのが

④省エネ基準適合住宅の最大控除額

住宅ローン控除の対象借入限度額は5,000万円ですが、これは長期優良住宅、低炭素住宅の場合の話であり、省エネ基準適合住宅の場合は4,000万円です。これに控除割合の0.7%をかけて、最大控除額は28万円となります。

私もここの知識が微妙で(5,000 x 0.7%=)35万円と28万円どちらかちょっと悩みました。

でも省エネ基準適合が満額の5,000万円ではないことを覚えており、借入限度額4,500万円とかだと31.5万円になってしまい回答欄の( ④ )万円、というのにあまりフィットしないと思い4,000万円で回答できました。

第4問 E分野

問60

建築基準法の穴埋め問題

①はいつもの斜線制限を聞いていますので大丈夫でしょう。

問題は②から。建築工事に関する確認を受けるために「②建築主事」に申請をすることや、それにより③確認済証を交付されること、中間検査の対象が④3階以上の建物であること、中間検査や完了検査は⑤3日以内に申請が必要なこと、完了検査が終わると⑤検査済証が交付されること、といった知識を問う問題でした。

私は宅建士の勉強をしていたので何とかなりました(それでも⑤の日数は間違えた)が、FPの勉強をしていて建築主事というワードが出てくる人は少ないのではないかと思います。

しかも宅建の過去問でも建築主事を問う問題が出てきた記憶がありません。これぞthe重箱の隅、といった感じです。

問61

計算過程付きで事業用資産買い替えの①譲渡所得と②税額を求める問題。

基本的な問題ではありますが、事業用資産だと80%のみ繰延であるのが厄介。

今回は買替資産の方が高額なので、譲渡資産の80%が繰延の対象となる、ということを覚えていれば解けます。

実は私はこの問題が苦手で、幸い受験直前に集中対策していたので楽勝でした。

問62

防火地域に耐火建築物を建てる際の①建築面積と②延べ面積を答えるもの。計算過程はなし。

いつものパターンなのでこれを落とすようではいけませんね。

特定道路緩和で6m道路が7.8mになり、容積率が指定容積率(400%)になるのがポイント。

第5問 F分野

非上場会社の相続の問題。これもいつものパターンです。

問63

特定の評価会社に関する穴埋め。

難しいところは特にないですが、③株式等保有特定会社の株式の評価割合(50%)や④大会社の場合の土地保有特定会社の土地保有割合(70%)、⑤で比準要素1の会社の比準割合(0.25)など数字を正確に覚えている必要がありました。

私は⑤は落としてしまいました。

問64

計算過程付きで類似業種比準価額を求める問題。

ここでは2つのひっかけがありました。

1つは、類似業種比準価額を表から選ぶもので、2022年1月に「極悪問題」と評されたアレです。

とはいえ、小分類ではなく中分類から選ぶのも同じなので、過去問をやっていればここはクリアできたと思います。

もう1つは、「大会社」「中会社の大」みたいなのが書いてないことです。

これは、従業員数が70人であるのが答えで、ここから大会社と導き出せるかどうかで明暗がわかれたところです。

私も「どこに書いてある?見落としてる?」と何度も問題を読み直してしまいましたが、70人ということだけピンポイントで知っていたのでことなきを得ました。

これが中会社の条件とかだったら落としてたと思います。

問65

1株あたり純資産価額を求めるもの。

特にひねりもなし。計算ミスに気をつけましょう。

振り返って

過去問そのままというわけでもありませんが、2022年1月のような極悪な感じもせず、しっかり過去問対策をしていればある程度解ける、という感じを受けました。

ただ、金融の計算問題のようにこれまで出たことのないものもあり、応用力が問われる部分もありました。単なる解法の暗記ではなく、概念を理解しておくことが重要です。

また、知識(穴埋め)に関してはこれまで出題されていないところを問う問題も多く、得点調整というか、「合計点を下げさせる」問題だと思います。そのため、計算問題でミスをしないようしっかり点数を稼いでおくことが重要だと思いました。知識はほぼ各1点なのに対し、計算問題は配点が高いそうなので。

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