本邦初公開!普通は見れないコンピュータ歴史博物館訪問記(1)

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  • 更新日:2015/02/26
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アイルランドに出張

私はこのとき、DERI (Digital Enterprise Research Institute)というNUI (National University of Ireland)の一機関との共同研究の立ち上げのために訪れました。

03062011071.jpgDERIのビル

ここで総勢約200名の研究者が日夜研究を行っています。

研究所の中の博物館

そのビルの2階(現地の言い方だと1st floor)にHistory of Communications & Computing、要は古いコンピュータの博物館があります。おそらくアイルランドで唯一のコンピュータ歴史博物館ではないでしょうか。

CIMG8509.JPG入口

ビル自体がDERIのセキュリティ内になるので、ここに一般訪問者が自由に入ることはできません。ここに来たことのある日本人は極めて少ないので、訪問記も他にないのではないかと思います。

入り口の窓の向こうに見えるモニタ状の機械はiMacでしょうか。ここではそんな新しい(?)機種には目もくれず、旧機種を狙います。

CIMG8510.JPG入り口を入るとすぐにApple IIがあります。やはりオールドコンピュータを語るときにこの機種は外せませんね。上蓋は外れてますけど。この機種、良く見ると"Apple II europlus"とあります。これは、欧州向けの220V対応バージョンということのようです。

ディスクケースに禁煙マークが貼ってありますね。きっと喫煙すると隣にある消火器が作動するのでしょう(嘘)。

CIMG8511.JPGApple IIの隣に展示されているのはMacintoshです。ここにあるのはClassic IIなので、そんなにレアでもないですね。

CIMG8512.JPGBell & HowellのSR-IV。Bell & Howellは映画関連機器の製造を行っていた会社です。Apple IIを教育市場向けに売ったりもしていました。この機械はMicrofiche Readerと呼ばれるもので、マイクロフィルムに印刷されたプログラムを読み出すためのものです。

CIMG8513.JPGTektronix、いわゆる端末ですね。展示のモデルはTektronix 4010-1です。グラフィックも出せる端末で、1972年ごろの発売。xtermなどの端末エミュレータではこのシリーズのオプション(xterm -t)が現在でもサポートされているそうです。

CIMG8514.JPG

Digital Equipment Corporation (DEC)のVT180。1982年に発売されたCP/Mベースのコンピュータです。CPUは8ビットのZ80/2MHz、メモリは64kBと当時のCP/Mマシンとしては標準的なスペックです。ちなみに、この年に日本では16ビット(i8086)のPC-9801(初代)が発売されています。

CIMG8515.JPG同じくDECのRainbow、上記のVT180の後継機で、同じく1982年に発売されています。8ビットのZ80/4MHzと16ビットのi8088/4.81MHzの2CPUを搭載。CP/MのほかにCP/M-86やMS-DOSも使えるようになっています。

CIMG8516.JPGTexas Instrumentsの980Bというマシンで、後継機の990というシリーズがWikipediaに載っています。いわゆるミニコンピュータと言われるジャンルの機種で、16ビットアーキテクチャのようです。当時のパンフレットもWeb上にありました。

この機種向けに1981年に書かれた並列Pascal (コンピュータ言語)のための仮想マシンという論文が今もWebで公開されていることにちょっと驚き。

CIMG8517.JPGDECのVAXstation 3100。VAXシリーズは32ビットアーキテクチャを持つ一連の機種群で、1970年代から同じDECが出していたPDPシリーズと呼ばれるシステムを置き換えてミニコンピュータの一時代を築き上げました。本機種はかなり遅めの1989年発売、ワークステーションというジャンルのコンピュータが全盛だったころの機械ですね。

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こちらはうって変わってホビーユース。Commodore 64です。1982年発売で、1700万台も売れたベストセラー機です。CPUはMOS 6510、このCPUは6502の改良版で、ファミコンなどに採用されたCPUは6502互換だったので親戚関係に当たります。メモリは機種名の通り64kBです。

今でも熱烈なファンがいる機種で、私も関わっていたContikiはこの機種から生まれました。

CIMG8519.JPG同じくコモドール社のVIC-20。日本ではVIC-1001という名前で売られていたもので、40代以上の方なら持っていた人もいるかもしれませんね。

CIMG8520.JPG時期がちょっと遡って、コモドールのPETです。このシリーズのPET 2001は世界初のパーソナルコンピュータとも言われるもので、1977年発売です。展示の機種はCBM 4000シリーズと呼ばれた後継機と思われます。

CIMG8521.JPG

AMSTRADのPCW9512というコンピュータ。AMSTRADは英国の会社で、本機種は1987年に499ポンドで発売。Z80ベースのCP/Mマシンです。LocoScriptというワープロソフトをバンドルしていました。

非常に量が多くなったので、BBCのコンピュータリテラシープロジェクトで使われたコンピュータなど、続きは次回紹介します。

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