日本がトランプから学ぶべきこと

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  • 更新日:2016/11/14
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ドナルド・トランプ氏が正式な大統領候補になり、世界中で反応があり、さまざまな分析や予測がされています。

Donald_Trump_by_Gage_Skidmore_10.jpgWikipedia / Gage Skidmore

ここでは、この「トランプが選ばれたこと」が日本にとってどういう意味を持つのかについて考えてみます。

なぜトランプが選ばれたか

今回の選挙でトランプ候補がなぜ選ばれたのか、巷では様々な分析がなされていますが、実際のところとってもシンプルだと思っています。一言で言えば、「ヒラリー・クリントン候補が嫌われたため」です。

では、なぜクリントンにあれほどサポーターがいるのか。それも簡単。「トランプが嫌われているため」

そもそも今回の選挙は「消去法」であり、「この人に是非大統領になって国を導いてほしい」のではなく「この人が大統領になったら嫌だからそうでない人を選ぶ」という形で投票した人が多いように見えます。

トランプ勝利に貢献した中西部、いわゆるバイブルベルトと呼ばれるエリアに住む白人の社会は、この数10年の間にずいぶん弱い立場に追いやられていきました。最大の要因は日本を含むアジアの台頭です。アメリカは強かったはずなのに、そのアメリカが守っているはずの日本や韓国が台頭してアメリカの経済(主に工業) を衰退させた。その間、中国やインド、東南アジア諸国も日本などの高度経済成長を追いかけ、既にオリジナルであるはずのアメリカの力は見る影も無い。

そんな状況なのに、世の中の話題は女性の権利だとか、黒人の権利だとか、自分たちとは無関係な、または自分たちをさらに追い詰めるような議論ばかり。

黒人や女性といったダイバーシティの議論は所詮ニューヨークやサンフランシスコなど都会のエリートの論理であり、クリントンが言っている「グラスシーリング」(女性の昇進には見えない壁があり、ある程度以上には行けないということ)なども、結局はエリートが綺麗事を並べているようにしか聞こえないでしょう。

本来アメリカの主流は我々白人社会ではなかったか。アメリカを創ってきたのは我々であり、未だに大多数で貢献しているのも我々だ。女性だとか、ヒスパニックだとか、本来の貢献者である我々を無視した都会の論理、綺麗事ばかりで動く政治にはもうたくさんだ。

そんな感じではないでしょうか。

一方トランプは生粋のニューヨーカーであり、やはり中西部の白人ミドルクラスを肌で知っているわけではありません。でも、訴えている内容が「反クリントン」であり、見た目から「エリート」のクリントンに比べ、ある意味下品で泥臭さを感じさせる風貌や論理が中西部の多くの白人たちの支持を得たとしても、驚くには当たらないでしょう。

ここからどう学ぶか

これからアメリカという国がどうなって行くかも興味深いことではありますが、足元の日本もこの現象を看過すべきではないでしょう。

そもそも投票直前までクリントンが圧倒的に優勢と伝えられてきました。しかし、蓋を開ければトランプが勝利しています。

上述したことと合わせ、日本の政治家は、これを他山の石として考えるべきです。

日本の場合は投票率が低いことが、(特に若者が)政治に興味がないということで片付けられて議論されることが多いのですが、とんだお門違いです。そうではありません。

最近の選挙、いつ見ても誰も彼も毒にも薬にもならない横並びの候補がリストに並びます。選ぶ人がいないから、選挙に行かないだけです。

政策も、選挙の時は耳に優しいことを言いながら、政権を取ればいつのまにか反故にするということが常態化しています。私は選挙には行くタイプですが、それでも政治には一種の諦めがあります。どうせ何も変わらないと。

しかし、トランプ(のような人)が日本に出てきたらどうなるでしょう。つまり、怒れる「選挙に行かない層」を代弁し、既存の政治に風穴を開けると期待できる人、人の金を使って選挙をして当選後はその支持基盤の言いなりになる、そんなことのない強力な財政基盤を持つ人です。

日本でも起こりうる

とはいえ、今回のような事件は残念ながら? 日本では簡単には起こりません。

日本の場合首相を直接選ぶ選挙はないからです。

アメリカも直接選挙ではないとはいえ、選挙人は選挙対象を誓約しているし、実際には多くの州で投票用紙に直接大統領を書いてもその候補に投票する選挙人に読み替えられたりするので、実質的にはかなり直接選挙に近いといえます。

仮に日本でも直接選挙で「政治の素人で変なことばかり言うが何か変えてくれるかもしれない人」と「いろいろ裏がありそうな政治のプロ」が有力な候補として対決したらどうなるでしょうか。

普通だったら泡沫候補として大した話題にもならずに終わります。しかし、トランプのような強力な財政基盤があれば、それが変わるかもしれません。

実は、トランプ候補の出現を心待ちにしているのは、日本人なのです。