消えゆく寝台列車の秘密と新ビジネスモデル

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  • 更新日:2016/07/19
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寝台列車がどんどんなくなっています。

この3月にはカシオペアなど青函トンネルを通る寝台列車が北海道新幹線開通の影響で全滅し、とうとう定期列車として残ったのは「サンライズ出雲・瀬戸」のみとなりました。

Sunrise.jpg唯一定期列車として残るサンライズ (出典: Wikipedia.org)

寝台列車は死滅したのか?

確かに定期列車としてはほとんどなくなってしまった寝台列車ですが、生まれ変わろうとしています。

定期列車として廃止になった場合、よくあるのは臨時列車としての運行です。しかし、今の動きはそうなっていません。

3月に廃止されたカシオペア、実は「カシオペア紀行」「カシオペアクルーズ」という名前の列車として走り始めました。もともとカシオペアはJRになってから1999年に新造された車両で、他の寝台列車車両と比べればまだ車齢も新しくまだまだ使えるというのも理由の一つでしょう。

ちなみにカシオペア紀行は片道で69,800円、カシオペアが35,230円で乗れたことを考えると倍額になっています。夕食(弁当)、朝食(軽食)が提供されるとはいえ、ずいぶんな価格です。なぜでしょうか。

一つの秘密は「団体列車としての運行」です。JRが通常の列車として走らせるのではなく、旅行会社が企画する団体列車なので、料金が決められた運賃に縛られないのですね。企画旅行会社とはいっても、株式会社びゅうトラベルサービス、JR東日本が73.8%出資する連結子会社です(残りの出資元は日本航空)。プレスリリースを見ると、実際には運転日によって企画実施会社が異なるようです。

カシオペアクルーズになると、3泊4日の旅行プランとしてではありますが、46万円~60万円と、JR九州のクルーズ列車「ななつ星」に匹敵する価格になっています。

新たなビジネスモデル?

2013年10月に運行開始したJR九州の「ななつ星in九州」の成功に押され、

といったようにJR各社が次々と「クルーズトレイン」という概念を打ち出してきています。共通点は、一人一泊あたり10万円を超える高額なツアーとなっており、国内外の富裕層を当て込んでいることです。

いずれも料金が規定の運賃・料金に縛られない団体列車です。これらの動き、定期利用者がいなくなって廃止の憂き目にあった寝台列車を逆手に取ったビジネスモデルと言えそうです。

なお、今や「最後の定期寝台列車」となったサンライズも高い人気を誇っていて、2016年のゴールデンウィークには臨時列車まで出しましたがほぼ満席だったそうです。以前は「新幹線で移動してホテルに泊まった方が安い」などと言われていた寝台列車ですが、相次ぐ廃止できわめて希少な存在になったこと、クルーズトレインの価格の高さから相対的にリーズナブルと言えるようになった料金などが人気の秘密でしょうか。

私も含む庶民にはもはや手が届かない位置になりつつある寝台列車、せめて最後の牙城、サンライズに乗っておきましょうかね?

昼間特急にも導入?!

こちらは追記です。

この「ツアーにして値段を高く設定する」ビジネスモデルは寝台列車のみならず、小田原〜伊豆急下田間を走るジョイフルトレインの「伊豆クレイル」にも導入されました。

izu-craile.jpg伊豆クレイル(出典: JR東日本)

面白いのは、この列車の場合、展望車(1号車)およびコンパートメント(3号車)は旅行会社扱いのツアーで、食事と飲み物が出ますが、4号車は通常のグリーン車でJRの通常のチケットとしての取り扱い(みどりの窓口などで購入)になることです。なお、2号車はラウンジと物販カウンターです。

ツアーとしての代金は、一人片道1万円程度からだそうです。