Tiny Core Linux (9) - microcoreで最小のXorg環境を作る

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  • 更新日:2015/03/08
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これまでの流れ

前回の方法に味をしめて(?)、microcoreでも同じ方法が使えるのではないかと思いました。

TinyCoreからMicrocoreに移行

もともと、microcoreとtinycoreの差分はtczで提供されているので、microcoreで起動したら、次のようにすればmicrocoreをtinycore相当にすることができます。

% tce-load -i Xprogs
% tce-load -i Xlibs
% tce-load -i Xvesa
% tce-load -i flwm_topside

もちろん、Dynabook SS 3410ではXvesaの代わりにXorg-7.5でなければいけません。 しかし、この部分は既に前回最小のファイルセットを見つけました。

あとは、XprogsとXlibsに対して同じような作業をすればいいわけです。

で、また地道な作業で最小限のファイルセットを作成しました。 例により、自動的に新しいmicrocore.gzを作成するためのスクリプトと一緒に公開しておきます。

microcore-xorg.tar.gz microcore-xorg-flwm.tar.gz

準備として、/mnt/hda1/boot/microcore.gzを用意してください。 また、以下のパッケージを/mnt/hda1/tce/optionalに(tce-load -wで)入れておいてください。

Xlibs.tcz
Xorg-7.5-lib.tcz
Xorg-7.5.tcz
Xprogs.tcz
feh-1.3.4.tcz
firmware.tcz
flwm.tcz
giblib.tcz
openssl-0.9.8.tcz
pixman.tcz

作成方法は、アーカイブを展開したあと、

% sudo sh mkmicrocore.sh

となります。 これで、/tmp/microcore.gzが作成されます。 なお、Virtual Boxで試す場合は、Xorg-7.5.tcz.vbox.minlistをXorg-7.5.tcz.minlistにリネームして mkmicrocore.shを実行してください。

今回は2バージョンあり、microcore-xorg- flwmはatermおよびflwmが入っています。 そのため、このパッケージではX Window上でターミナルを開いて作業することが可能です。 なお、flwmは私の好みで、tinycore標準のもの(flwm_topside)ではなくてタイトルバーが横につくもの(flwm)を入れてありま す。 標準のものにするには、flwm_topside.tczをtce-load -wでダウンロードし、flwm_topside.tcz.minlistを以下の内容で作成します。

usr/bin/flwm_topside

また、mkmicrocore.shを以下のように修正します。

(修正前) sh copyfromlist.sh flwm
(修正後) sh copyfromlist.sh flwm_topside
(修正前) echo flwm >> /tmp/microcore/etc/sysconfig/desktop
(修正後) echo flwm_topside >> /tmp/microcore/etc/sysconfig/desktop

microcore-xorgはこれらは入っておらず、Xが起動したら.xsessionの中身を実行することしかできません。

.xsessionには、以前書いたように、次の行を追加しておきます。

xset s off
xset -dpms (dynabookではこの行がないと一定時間後にスクリーンが消える)
feh -F -D 10 -r --hide-pointer /mnt/hda2/Photos/

microcore-xorgの場合、終了する場合はCtrl+Alt+BackspaceでX自体を終了 させます。 デジタルフォトフレームを作るという本来の目的ではこれでも十分です。 コンソールでの作業はできますし、tce-loadで一時的に追加パッケージを入れてメンテナンスもできますから。

ベンチマーク

さて、ベンチマークです。 これまでの結果も合わせて表にしました。

パッケージ grubから画像表示まで 電源入から画像表示まで メモリ使用量 tinycore.gzのサイズ tczのサイズ 備考
Xorg + GQView 28s 40s 98MB 8.01MB 16.20MB
Xorg + Feh 26s 38s 56MB 8.01MB 14.61MB
Xorg最小化 23s 33s 45MB 11.03MB 0.00MB grubの待ち時間を3sから1sに変更
microcoreベース+最小Xorg (flwmあり) 21s 31s 35MB 8.79MB 0.00MB
microcoreベース+最小Xorg (flwmなし) 18s 28s 34MB 8.45MB 0.00MB

というわけで、最終的に起動時間が30秒を切りました。 tinycore.gz (実際にはmicrocore.gz)のサイズも、Xorgとfehを入れてオリジナルのtinycore.gzとそれほど変わらなくなりました。

BIOS スクリーンの時間はいかんともしがたいですが、実際grubからの起動時間を見ていると約18秒と、このスペック(Celeron 400MHz)にしては驚異的な速度で起動するのがわかります。 参考までに、環境作成に使用していたVirtualBox(ホストはCore i7-640M 2.8GHz、Windows 7 64bit、割り当てCPUは1個、メモリ192MB)での起動時間は5秒程度です。

ここで紹介している方法は、オリジナルのtinycore.gzやmicrocore.gzからファイルを削除するわけではないので、今後バージョンがあがっても修正が不要か、わずかな修正で動作することが期待できます。

PCとしてではなく、デジタルフォトフレームのようなアプライアンスを作るベースとしてTiny Core Linuxをカスタマイズしてきましたが、いかがでしょうか?

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