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Penalizeする文化

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先日ラジオ(BBC Radio 4)を聞いていたら、こんなニュースがありました。

禁煙や減量、ドラッグからの脱出を継続させる人にバウチャー(金券)を提供するプログラムがNHS(National Health Service、イギリスの健康保険)の一部で行われている。

たとえば、禁煙だったら一週間継続するごとに10ポンドづつ提供するとか、減量だったら1ポンド減らすと何ポンドかもらえるとか、そういう感じです。

これがなんでニュースかというと、私は欧米文化の背景を考える必要があると思います。 というのも、アメリカとイギリスに住んで、きわめてpenalizeな文化だと感じているためです。

たとえば、スーパーマーケットの「マイバッグ持参」を推進するために、日本だったらスタンプカードのようなものを用意して、スーパーの袋を使わずに買い物をするたびにスタンプを押し、スタンプが一定量たまったら割引をしたりします。 これはawardingなやり方です。

一方で、こちらではたいていの場合は袋を有料にすることから始めます。 袋のために金を払いたくなかったらマイバッグを持参しろ、ということです。 もちろん最近は日本でもこういう方向性になってきていますが、少なくともイギリスでマイバッグにおけるスタンプカード割引のようなものはほとんど見たことがありません。

ほかの顕著な例として、もっとも大きな罰則を表示することがあげられます。 たとえば、道の標識に、「犬のフンを自分で始末しなかったら最大1,000ポンドの罰金がかかる」とか、電車やバスの中に「チケットを持っていなかったら25ポンドの罰金がかかる」などといった掲示をよく見かけます。 これはもちろん嘘ではないし、不正を防止するためのものではあるのですが、まず最大の罰則を示して「こういうことをしてはいけないよ」という言い方をするのがこちら流なのではないかと思っています。

そこから考えていると、冒頭のような「このような努力をすればメリットがある」という形式のキャンペーンは結構珍しいような気がしているのです。


Google Streetviewが個人情報収集、だから?

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Googleストリートビューカーが無線LANの通信内容を傍受していたとのことですが、暗号化されていない通信内容を傍受したところで何が問題だというのでしょうか。

ひとつの言い方としては、暗号化していないのが悪いのです。 暗号化している通信を勝手に複合化することは先進国の大部分では法律で禁止しています。 そして、たとえ暗号化していないとしても、傍受した通信を公開できるかというと話は違います。 もちろん公権力の操作に対してどうするかという話はあるのですが、原理的には集めたからといって理屈としてはどうすることもできないのです。

これは、警察無線を暗号化されていないからという理由で傍受してその内容を「理解」しても罰せられないのと同じです。 ただし、日本の場合でいえば通信の秘密を守る法律があり、傍受した内容を「窃用」(用語の詳しくは電波法参照)してはいけないことになっています。 業務上知りえること(Googleはこれにあたる)と、それを使用することは別物だということを理解する必要があります。


情報を収集されることに対する生理的な気持ち悪さは理解するのですが、たとえばあなたが近隣に「私は○○ですよ~、私はどこそこに貴重品を放置してますよ~」と自分自身が触れて回っているとしたらどうでしょうか。 阿呆らしい、誰がそんなことをするか! と思ったりするのではないでしょうか。 でも、それがまさにこの世界で発生していることなのだ、ということを理解してほしいものです。


ところで、朝日新聞はこのようなデータを「誤って」集めていたと報じていますが、プログラマの観点からすると「誤って」集めるようにプログラムしたとはとても考えられません。 それがGoogle本社の意向に合っていたかどうかはともかく、最初から集めるべくして集めたデータです。

まぁ、SSIDやMACアドレスを集めるのと通信内容を集めるのにはほとんど手間に差がないので単に「やってきたから記録した」程度のことなんですけどね。

公共の電波を使って垂れ流している以上、その辺はリスクと隣り合わせであることを啓蒙することが先ではないでしょうか。


過眠症(Hypersomnia) とリタリン(Methylphenidate)

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ここんところ、mixiのコミュニティでリタリンの是非が議論されています。

(24Aug.追記) トピックごと消されてしまいました。言論弾圧、お見事!

現在、日本でのリタリンの適応症は添付文書によると「ナルコレプシー」のみ。 ナルコレプシーは睡眠障害の一種でもっともよく知られているものですが、それ以外の睡眠障害についてはよく知られていないようです。

以前も書いたように私は睡眠障害でリタリンを処方されていますが、厳密な意味でナルコレプシーではないので、 「ナルコレプシーじゃないなら欲しがるなこのヴォケが!!」 「禁断症状で寝言言ってんじゃねぇこのシャブ中!!」 とひどい言われよう。

詐病でもらう奴と薬の添付文書を妄信する奴は、何のためのリタリン投与か分かってない点において50歩100歩。 なんてことをいうと、まぁ、考えることを放棄してマスメディアを妄信する人には耳が痛いのかもしれませんが。

ただ、「諸外国でもリタリンの適用は睡眠障害とADHDのみ。貴様がナルコレプシーでもADHDでもないならうつ病で不法にもらっているわけだ」などと「うつ病認定」されてしまうのですから、あまりに認知が低いのも事実。 ナルコレプシーは睡眠障害の専売特許じゃないんですけどねぇ。


まぁ、思考停止のゆとりにいくら言っても簡単には通じませんので、地道にやるしかない。 そこで、少しづつ自分の病気を通じて睡眠障害、中でも過眠症という病気を知ってもらおうと思います。

とりあえず、Wikipediaの項目を作りました。

(24Aug.追記) まだ中途半端ですが、とりあえずコミットしました。


過眠症(Hypersomnia)は眠りすぎてしまう症状である。 アメリカのNational Institute of Neurological Disorders and Stroke (NINDS)のWebサイトによると、

過眠症は日中の過眠、または長時間の夜間睡眠が繰り返されることによって特徴付けられる。 夜間に不眠で疲れるのと異なり、 過眠症の患者は日中の眠るべきではない場面、仕事中、食事中、会話中などにに何度もの居眠りを強いられる。 これらの日中の居眠りは通常、症状を和らげない。

患者はしばしば長時間の睡眠から起きるのがつらく、ぼんやりしてしまうこともある。 他の症状としては、不安、いらだち、活力の欠乏、落ち着かない気分、思考の遅延、発声の遅延、食欲減退、幻覚、そして記憶障害などがある。 患者によっては、仮定や社会、仕事などにおいての能力が欠落する。 典型的には、過眠症は青年期または若い成人の段階で発見される。

診断

一日10時間以上の睡眠を最低2週間常に取っているか、日中に何度も居眠りをしてしまう場合に過眠症と診断される。

原因

過眠症は脳障害や、うつ病、尿毒症、線維筋痛症などにより引き起こされる。 また、過眠症はナルコレプシー、睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群、periodic limb movement disorderなどの他の睡眠障害の症状ともなることがある。 また、他の薬(例: うつ病、不安、双極性障害向けの向精神薬等)の副作用や 禁断障害、 ドラッグやアルコールの乱用でも引き起こされる。 Genetic predispositionが一因と考えられている。

体重過多の人は過眠症になりやすい。 これは睡眠過多がエネルギー消費を妨げることによって悪化し、減量がさらに難しくなる。

他の可能性としては、mononucleosisの感染があり、この種の感染直後からの過眠症患者のケースが見つかっている。

また、過眠症は子供のインフルエンザによっても起こる。

過眠症の原因が特定できない場合、突発性過眠症と診断される。

治療

NINDSのWebサイトによると、

治療は本質的に症候的である。 アンフェタミン、メチルフェニデート、モダフィニルなどの興奮剤が処方される。 他の薬剤には、clonidine, levodopa, bromocriptine, 抗うつ剤、monoamine oxidase inhibitorsが含まれる。 行動改善(例えば夜勤や終身時間までの社会活動避ける等)および減量は多少の緩和となる。 患者はアルコールとカフェインを控えたほうがよい。


上記にあるように、NINDSのWebサイトでは、Hypersomniaの治療にアンフェタミン、メチルフェニデート(日本で言うリタリン)、モダフィニルが書かれています。 つまり日本ではともかく、過眠症にリタリンを処方するのはありなのですね。

前述のような「うつ病」認定は正直見ててイタいです。

今回は日本語と英語両方で書きます。 読みにくいでしょうがご容赦ください。

This entry is written both in Japanese and English. Please understand that I'm sacrificing readability.

ニコニコ動画(ニコ動)をうろついていたら、もともとがYouTubeで公開されているUnreal Gamerというビデオと、それに関連した膨大な量の関連動画を見つけました。 ちなみに、タイトルは以下のようにいろいろあるようです。

I came across a movie clip called "Unreal Gamer" and vast amount of related clips while I was wandering around Nico Nico Douga (Smile Video). It is also called as:

  • Angry German Kid (En)
  • Der echte Ganster (De) "The true gangster" 「本物のギャング」
  • キーボードクラッシャー (日) Keyboard Crasher (Ja)

ニコ動でのすべてのはじまりはこちら。

The following is the origin in Nico Nico Douga.


元になったYouTubeの動画はこちら(元動画がドイツ語であることはドイツ人の同僚に見てもらって確認しました)。

It was based on the following clip on YouTube. I've asked one of my German colleagues and confirmed the original clip is in German.


ニコ動での経過まとめはこちらに詳しいのでお任せするとして。 最終的(?)にはこうなりました。

I skip the detail about what have been happening in Nico Nico Douga, which is explained here. Finally, I've reached the following clip.


ニコ動のものは既に日本語キャプションがついているものが元になっているようですが、YouTubeの"Correct Translation"というビデオに興味深いことが書いてありました。

All movie clips in Nico Nico Douga seem to be based on one, which has already Japanese subtitle, but another clip on YouTube called "Correct Translation" has an interesting description.


この動画の右上に長い説明があります。 長いですが、誤解を避けるためほぼ全文を引用・翻訳します(著者に引用・翻訳許可を得ています)。

The movie page has a long description. I quote and translate almost all to avoid misunderstandings (the quotation and the translation are under author's permission).



Angry German Kid (a.k.a. Der echte Gangster, Slikk or Leopold) is a talented actor of age 15 from Bergisches Land, Germany. He plays a character, Der echte Gangster, a parody of a wannabe gangster. This fact has often been misunderstood, and as a result he has been subject to bullying both on- and offline (e.g. school). For this very reason, he stopped making videos for almost a year in 2006.

Angry German Kid (Der echte Gangster、SlikkまたはLeopoldとしても知られている)は、才能ある15歳のドイツはBergisches Land(地名)の俳優です。 彼は「本物のギャング」という、ギャングになりたがりのパロティキャラクタを演じています。 このことはしばしば誤解されていて、結果的にオンライン・オフライン(学校など)双方でいじめに遭いかねない状態にありました。 そのため、2006ごろにほとんどビデオを作成しなくなりました。

"I am not sick or mad, I only have a sense of humor not everyone immediately understands. In addition, I have acting talent. I can do something so real that many think it is real. For this reason I will be insulted by many and hated. The aim of my videos or movies is to entertain people, not provoke. Nobody should take my short videos on the Internet seriously - they are merely for entertainment. No matter what people think or say, I am a very normal boy with acting talent."

「僕は病気でも気が狂ってるわけでもない。 ただ誰しもがすぐに分かるわけではないユーモアセンスを持っているだけだ。 それに、僕には演技力がある。 僕がやることは非常にリアルだから、みんなもリアルだと思っちゃうだけだ。 だから、きっと僕は多くの人から侮辱されたり嫌われたりすると思う。 僕のビデオの目的は、みんなを楽しませることで、怒らせることじゃない。 インターネットに投稿した僕のビデオを誰もまじめに見る必要はない。 楽しんでくれればいいんだ。 誰が何といおうと、僕は演技力があるいたって普通の少年なんだ。」

This video was made as a response to some German politicians attempting to restrict access to violent video games. He was trying to show how they view gamers. Very amusing and intelligent. Too bad most people missed the point.

"Journalists" from Focus TV (Germany) used this as an example of an internet addict, claiming the kid to have been secretly taped by his father and to be undergoing therapy in addiction clinic. Naturally, this was not what "Leopold" understood to have agreed on when he gave approval for airing it on TV.

このビデオはドイツの政治家たちが暴力的なビデオゲームを規制をしようとすることに対して作られたものです。 彼は政治家たちがゲーマーたちをどういう風に見ているかを示そうとしました。 とても面白く賢いやり方ですが、多くの人がこの点を見逃しているのは残念です。

ドイツのFocus TVの「ジャーナリストたち」はこれをインターネット中毒の見本として使い、この子は父親によって隠し撮りされ、今は病院で治療を受けていると主張しました。 当たり前ですが、これは彼こと"Leopold"がビデオのTV放映に関して同意した内容とは違います。

Also, this is NOT me in the video. I am NOT the Angry German Kid. Stop sending me your pointless messages of how you believe this kid needs anger management. Nobody gives a shit about your opinion. Unbelievable how daft some people are, wasting my time with pointless messages to yell at me "omg dude GET HELLP ASSHOLE!!!!1" Thank you very much. Morons.

あと、このビデオに出ているのは私ではありません(訳注: YouTubeに動画をアップロードした人のこと)。 この子が如何に精神治療を必要としているか、などという意味不明のメッセージを私に送るのはやめてください。 誰もあなたの寝言なんか聞きたくはありません。
信じられないことに、私に「なんてこった、病院行きやがれこのキモ野郎!!!!」などとと叫ぶ間抜けどもまでいるのです。 ありがとうよ、クソ野郎共。

After seeing so many stupid (or rather wrong) translations of what the Angry German Kid is saying, I felt it has to be my duty as a German dude to translate it properly. I'm sorry for the bad quality. I hope you can read it all.

あんまりたくさんの馬鹿げた(そして間違っている)翻訳を見てきて、私はドイツ人としてきちんと翻訳しなきゃいけないと思いました。 画質が悪くてすみません。 全部読めるとは思いますが。


YouTubeの関連動画を見てみると、確かに彼はまじめな意味で精神異常だという視点でのコメントがたくさんあります。

ニコ動での使われ方を見てると、どちらかというと悪意のある流用じゃないものが多いですね。 もともとドイツ語のせりふが日本語の空耳に聞こえるところから始まってますし。

空耳自体がニコ動のコメントで醸成されてきたものというのも興味深いところです。 たとえば、最後の叫びが「天皇陛下万歳!!!」と聞こえるところなど、元のドイツ語(の翻訳)では「意味不明の叫び」だったりします。 「たぴぱん」の題名の元になった「タピオカパン」とは「殺してやった(英語でI killed him、ドイツ語は見つかりませんでした)」だそうですし。

元動画のせりふはかなり悪態ばかりですが、それを日本語にしたものが下ネタばかりだったというのもポイントが高かったのでしょう。 あと、「コメント職人」による秀逸なコメントのプレゼンテーションはニコ動ならではかもしれません。 いわば動画作者とコメント職人のコラボレーションみたいなものでしょう。

これらが発展の基盤を形作っていったのですね。

そして「たぴぱん」に至っては既に原型を留めないほどになっています。 その間、たくさんの人(動画編集者やら作曲者やら3Dソフト作成者やら3Dモデリング作成者やら、もちろん視聴者も)が関わって、元の動画が「成長」した結果でしょう。 こういうのはいかにもWeb 2.0的なコラボレーションの形じゃないでしょうか。

上記説明から、こういう方向性のユーモアならLeopold君も理解してくれるのではないでしょうか。 でも、できることなら上記のようなLeopold君の本来の目的も知っておきたいものです。

続く。

Some related YouTube clips have many comments seriously claiming that he is a mania.

On the other hand, many of clips in Nico Nico Douga seem not to intend to criticise himself. The movement started as some German phrases in the clip sound like Japanese words (i.e. mishearing) in the first place.

Interestingly, the mishearings have been made in the comments on the clip. For example, the last scream sounds like "Ten'no Heika Banzai!!!" (His Majesty the Emperor, Banzai!!!) in Japanese, while English subtitle is just saying "screams incomprehensive." "Tapioka Pan" (tapioka bread), later becomes the name of a popular clip "Tapipan," actually means "I killed him" (although I couldn't find the original German spelling).

The original movie has full of swearing, while Japanese mishearings are full of indecent words. This fact was also attracting great attention from many people. Also, fascinating comment presentations made by so-called "comment artisans," which might be exceptional functionality and community in Nico Nico Douga. At this ponit, it would be a collaboration between the movie author and the comment artisans.

Such activities formed the foundation of growth.

Now we can hardly find traces of the original in "Tapipan", but some extracts are still there. To get there, many people have got involved, such as movie makers, composers, 3D-modeling software developers, 3D-modeling data creators, and of course, viewers, to "cultivate" the original clip. This seems to be quite Web 2.0-ish collaboration.

I hope the original author "Leopold" understands the humor of such movement. However, wouldn't it be better if we understand his original intention?

To be continued.


戦争の原因は金か、宗教か

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数ヶ月前にパレスチナとイスラエルの紛争があったとき、昼食時にこんな話題が出ました。

「根本的な原因はなんだ?」

一つの意見は「金」、もう一つは「宗教」でした。 もちろん実際にはそんなに単純ではないんでしょうが、この2つの視点に単純化して戦争を見てみると、興味深い考察が得られます。

この分け方があまりに即物的であれば、「物質的な利益」「精神的な利益」と言い換えてもいいかもしれません。 ここでは仮に、これらの言葉を使います。


物質的利益

数多くの戦争は、大部分が金、土地や資源など、物質的な利益を求めて行われています。 わかりやすい例として、特に古代では、より収穫の多い土地を求めて隣接する集落・国などに対して戦争を起こす例は枚挙に暇がありませんね。

人にとって、より豊かになりたいというのは自然な欲求ですから、これらは仮に同意はできなくても理解は可能でしょう。

太平洋戦争も、日本を含め各国がそれぞれの利益を求めて戦っています。 日本は大東亜共栄圏(この言葉の是非はさておき)に基づくアジアの土地や資源が、欧米諸国もやはりアジアの権益が主たる目的といえるでしょう。 結果としては日本は負けたわけですが、アジア各国はその後独立を獲得しました。 その意味では、アジアの権益を手放した、または確保できなかったという点で連合国側も「(試合に勝って勝負に)負けた」といえると思います。

まぁ、この戦争で勝ち組といえるのは、戦後独立を勝ち得たアジア諸国かな?

精神的利益

一方、宗教が絡んだ戦争の場合は、表面上はかなり異なる様相を呈します。 特に、欧米で勢力を持つ3つの宗教(キリスト教、イスラム教、ユダヤ教)は、ことあるごとに紛争を起こしています。 私を含め宗教観念の希薄な日本人には理解しにくいですが、これらの宗教を主に崇拝する欧米諸国では、想像以上に宗教と日常は不可分です。 そして彼らの間には2000年近くもの確執があり、何かと紛争が多いのです。

興味深いのは、この3つの宗教はいずれも源を同じくするものなんですね。 際立った特徴としては、いずれも唯一神をいただく一神教だということでしょうか。 この唯一神の名前は言語の違いもあり、ヤハウェ(ユダヤ教)、アラー(イスラム教)など、宗教によって異なるようですが。 古くから自然発生的に興った土着の宗教の多くが多神教なのとは対照的です。

私は詳細を論じることができるほど知識がありませんが、アブラハムの宗教に端を発し、最も早くに成立したのがユダヤ教です(紀元前6世紀ごろ?)。 その後、イエス・キリストを経てユダヤ教から派生し、1世紀ごろに成立したのがキリスト教です。 そしてムハンマドが7世紀に興したのがイスラム教です。

キリスト教はもともとユダヤ教の一宗派だったこともあり、旧約聖書などでモーセをはじめとしたユダヤ教の人物を重要視しています。 また、当初のイスラム教も先行するユダヤ教やキリスト教の延長線上であり、これら先行する宗教の指導者たちはイスラム教にとっても重要人物(預言者)ということになっているそうです。

これらの宗教間で、「異教徒を制圧する」「聖地を奪還する」などの名目の下に行われた数々の戦争(例:十字軍、レコンキスタ等)は、外様である私から見るといわば内紛のようです。

さらに、同じ宗教内でも対立を生み、戦争に発展しています。 たとえば、イラン・イラク戦争は同じイスラム教のシーア派とスンナ派の対立がクローズアップされました。

これらのことは、太平洋戦争で日本とアメリカが戦ったときに、「神道」対「キリスト教」のような宗教対立にならなかったこととは対照的です。 日本は歴史上何度か外国と戦争を行っていますが、そもそも宗教対立の構図になったことはないのではないでしょうか。

本来人の安息や平和を願い、人を救うための宗教が、まさに戦争の原因になっているというのが皮肉です。


物質的利益の理由のための宗教

ただ、これら宗教対立が原因とされる戦争も物質的な利益と密接に絡んでいます。

宗教は、即物的、世俗的なな利益を求めることの「醜悪さ」を包むオブラートとして、その機能を存分に発揮します。 戦争に良いも悪いもありませんが、下手に言い訳をせずに純粋に物質的利益を求める古代の戦争は、その意味では(人間以外の)動物的と言えなくもないかもしれません。 動物は戦うのに余計な理由をつけたりしません。

このオブラートの効果は絶大で、本来救うはずの死すら(死後に安息が約束されるなどの理由をもって)辞さないという、ある意味宗教の本末転倒に走ることになります。 もちろんその裏には、純粋な宗教的意義を求めて(または騙されて)死を選んだ人の上に物質的利益を得る者がいる、という構図がほぼ例外なく見えます。 十字軍の「エルサレム奪還」の御旗の元に、犠牲になった人と、これを狡猾に利用して利益を得た人の両方がいたことはよく知られています。

もっとも、オブラートは別に宗教に限った話ではありません。

たとえば、ホロコーストで有名なドイツのユダヤ民族排斥は、アーリア民族の優位性、民族的純血を守るという名目のもとに、劣等とされる「ユダヤ民族」を排斥する、という優生学の思想に基づいているといわれます。 しかし、この「民族」や「純潔」の概念はかなり曖昧です。 ホロコーストが行われた20世紀、既に「ユダヤ民族」「アーリア民族」は混血が進み、その違いを論じるのは難しいためです(ただしホロコーストの対象はユダヤ人だけではありませんが)。

ユダヤというのが宗教と民族の混じったものなので、そこに上手に付け込まれたということなのでしょうか。 古くからキリスト教やイスラム教では良しとされない金融業などを営み、それにより資産家が多く、ある意味経済を牛耳っていることによる反感(逆恨みといったほうが正しいでしょうか)を買ったのかもしれません。

「オブラート」では明治以降の近代日本も負けていませんね。 天皇を祀り上げることによって富国強兵に邁進し、それだけなら良かったのですが、たくさんの勤勉な国民が「大東亜共栄圏」の理想を信じながら亡くなっていったのですから。 この構図は「唯一神」を心から信じて犠牲になっていった宗教人たちとよく似ています。

まとまりがありませんが、歴史的に偉大な宗教家や、崇高な信念を持つ政治家の思想を受け入れるには、まだまだ人の心は未熟なのかもしれません。 このことについては、またいずれ考えてみたいと思います。


カタカナ英語の功罪?

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5月4日付日経新聞(衛星版)の記事に、「インタビュー 領空侵犯 小学英語からカタカナ排除」という記事がありました。 Peter Barakan氏によるものです。 Webのサイトでも見られると思います(サインアップが必要のようです)。

まず、「今日本で使われている英語のカタカナ表記は半分以上が誤りといって構わないでしょう。表記が本来の発音とかけ離れているのです」 これは全くそのとおりです。

ただよく、インターネット上で「メール」じゃなくて「メイル」だ、などという人がいますが、私はこれに意味を感じません。 記事内でも「マネー」は「マニ」、「バレーボール」は「ヴォリボール」などの例が出ています。

日本で既に広く受け入れられているカタカナ言葉は既に日本語化(カタカナ化)された英語もしくはその他の外国語であり、少しばかり元の言語の発音に近づけようとしたところで、所詮別物です。

むしろ、これらの言葉は既に日本語であり、意味も日本独自の変遷があったりします。 これはこれで、外国語を抵抗なく受け入れ、咀嚼してしまう日本語(または日本人)の柔軟性とも取れます。 たとえば「アニメ」という言葉はもともと"animation"(動画)という英語が転訛したものですが、既に日本独自の文化(anime)として欧米でも広く受け入れられています。

そういう意味では、著者の「英語のカタカナ表記と正しい発音が異なると認識すればよい」という意見には賛成です。 ですが、そのあとに続く「そうでなければ学校やマスメディアで使う表現・辞書を見直すべきです」というのはちょっと頷けません。

筆者は使える「英語を習得するには発音が最も重要です」と論じています。 確かにそういう面もあります。 私が昔住んでいたアメリカの片田舎では、私の拙い発音がどうしても通じなくて苦労した記憶があります。

ただ、国際語としての英語となると必ずしもそうではありません。 私の周りには、さまざまな社会的立場の日本人が活躍していますが、かなりカタカナ丸出しの英語でも難なくコミュニケーションをこなしている人がいくらでもいます。

ヨーロッパに来てわかりましたが、英語はコミュニケーションの手段であり、母語として英語を使う人はむしろ少数です。 そのような環境だと、彼らの母語から来たであろうあらゆる訛りが入り乱れているのですが、コミュニケーションには特に不自由しません。 「日本語訛り」もそのような「訛り」のうちの一つに過ぎません。

たとえば、日本語が"L"と"R"の発音の区別ができない、と言われることがありますが、これは日本語話者に限った話ではありません。 他の言語も考えれば、"B"と"V"、"V"と"F"、"S"と"TH"など、このような例はいくらでもあります。 別に日本語が特別なわけではないのです。

誤解を恐れず言えば、日本の高校または大学までの英語学習で、語彙や基礎的な表現については十分に身についています。 また、メディアやインターネットを通じて英語に触れる機会も激増しており、日本人の「英語基礎力」はかなりのレベルに達していると思います。 よく言われるように、日本の英語学習で決定的に足りないのは「実践」です。

筆者はこの記事で発音の重要性に絞って言及しており、それが彼の意見のすべてではないと思いますが、ちょっと先鋭的過ぎる嫌いがあると思います。

国際語として全くのカタカナ英語のままでいいとは言いませんが、ちょっと修正するだけで十分通じるのではないかと思います。 一方で、カタカナ言葉は外国語をスムーズに日本語に受け入れる手段として、一つの言語文化と捕らえてはいいのではないでしょうか。

ところで、いろいろ言っている割には、氏の紹介は「ブロードキャスター ピーター・バラカン氏」となっていますね...。