共有経済は格差を助長する

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  • 更新日:2016/07/13
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UberやAirbnbといった共有経済ビジネスが流行しています。

経産省の新産業構造部会でも共有経済をベースにしたビジネスがいろいろと議論されています。特に、事例集はよくまとまっており、一見の価値ありです。

いまの共有経済ビジネスの特徴

現在主流の共有経済ビジネスの特徴を考えてみると、次のようなことがいえるのではないかと思います。

まず、背景として、モバイル/スマホやIoT関連技術の進化により、サービスや財を生み出すための限界費用が下がっていることが背景にあります。特に、必要とするサービス(ライドシェアだったりスペースシェアだったり)に関する情報は、その対象となるモノ(車や家など)がひとつ増えてもコスト増大はありません。つまり限界費用がほぼゼロであると言えます。

つまり、対象となる財の価値以上の費用を必要とせずに取得や交換が可能である、ということです。これは無料であることを意味はしませんが、対象となる財の希少性のみに頼ったビジネスはもはやできないでしょう。

たとえば、AnycaなどのカーシェアではメルセデスベンツやBMWといった高級車が比較的頻繁に(そして安価に)シェアされています。同じものをレンタカーで借りるよりもずっと安価に借りることができます。もちろんメルセデスやBMWは元の値段も高いのですが、そもそもレンタカーとして扱っている会社が少ないことも高価格に拍車をかけていた部分があると思います。

優位性はモノから情報へ

財の希少性は低くなるのですが、この共有の仕組みを生み出すためにどうしても必要なものが情報です。まさに、情報が共有対象財の位置や所有者、状態などの情報を押さえ、需要者に対し適切に知らせることで共有・交換を可能にしています。

ところが、この情報が曲者です。ロイター通信のプロダクトマネージャー、アンソニー・デ・ローザによると、現在は「デジタル封建制度」だと言います。

彼は、ハフィントン・ポストや類似メディアのフェイスブック、ツイッター、ブログサイトのタンブラーなどが形成するシステムを「デジタル封建制度」と呼ぶ。「これらのサイトで用いられる技術は非常に魅力的で、知らず知らず奉仕させられる。われわれはカモにされてコンテンツを作り、他人のために価値を生み出している」。(ディプロ)

これは何もメディアや娯楽に限ったことではなく、よちよち歩きの共有ビジネスにも同じことが言えます。というよりも、共有ビジネスが群雄割拠しながら「封建制度」を目指しているように見えます。

共有経済は格差を助長する

封建制度を目指すのはなぜかというと、今の市場経済をベースにしているためでしょう。市場経済では規模とシェアを拡大することにより競争相手を駆逐し、利益を増大させます。

すでに成功しているUberなどはいい例です。いまの共有ビジネスは格差をベースに生まれ、格差を増大させているという結果になっています。これが、なんとなく私には共有経済という概念の直感に反しているような気がしますが、それは現在のビジネスが過渡期だからではないかと考えています。

限界費用ゼロ社会では市場経済が崩壊し、コミュニティベースの社会が進歩する、金銭価値に変わり社会的貢献や自己実現価値が増大するというのがジェレミーリフキンの説で、将来的にはそうなのでしょうが、情報の独占を防げえない今の段階ではまだそうならないような気がします。

情報の民主化がどのくらいの速度で進行するか、IoT技術の進展と並んで興味あるところです。

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