Penalizeする文化

  • 投稿日:
  • 更新日:2010/10/29
  • by
  • カテゴリ: ,

先日ラジオ(BBC Radio 4)を聞いていたら、こんなニュースがありました。

禁煙や減量、ドラッグからの脱出を継続させる人にバウチャー(金券)を提供するプログラムがNHS(National Health Service、イギリスの健康保険)の一部で行われている。

たとえば、禁煙だったら一週間継続するごとに10ポンドづつ提供するとか、減量だったら1ポンド減らすと何ポンドかもらえるとか、そういう感じです。

これがなんでニュースかというと、私は欧米文化の背景を考える必要があると思います。 というのも、アメリカとイギリスに住んで、きわめてpenalizeな文化だと感じているためです。

たとえば、スーパーマーケットの「マイバッグ持参」を推進するために、日本だったらスタンプカードのようなものを用意して、スーパーの袋を使わずに買い物をするたびにスタンプを押し、スタンプが一定量たまったら割引をしたりします。 これはawardingなやり方です。

一方で、こちらではたいていの場合は袋を有料にすることから始めます。 袋のために金を払いたくなかったらマイバッグを持参しろ、ということです。 もちろん最近は日本でもこういう方向性になってきていますが、少なくともイギリスでマイバッグにおけるスタンプカード割引のようなものはほとんど見たことがありません。

ほかの顕著な例として、もっとも大きな罰則を表示することがあげられます。 たとえば、道の標識に、「犬のフンを自分で始末しなかったら最大1,000ポンドの罰金がかかる」とか、電車やバスの中に「チケットを持っていなかったら25ポンドの罰金がかかる」などといった掲示をよく見かけます。 これはもちろん嘘ではないし、不正を防止するためのものではあるのですが、まず最大の罰則を示して「こういうことをしてはいけないよ」という言い方をするのがこちら流なのではないかと思っています。

そこから考えていると、冒頭のような「このような努力をすればメリットがある」という形式のキャンペーンは結構珍しいような気がしているのです。


こちらもよく読まれています